カリスマ西洋人建築家や日本庭園の巨匠が手掛けた旧古河庭園と四谷怪談ゆかりのお寺!東京都豊島区・北区を歩く

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四谷怪談で有名なお岩さんのお墓

今回も、前回に続いて東京都豊島区巣鴨周辺から北区に向けて歩きます。地蔵通り商店街から栄和通りを歩き、白山通りを渡ると、通りの名前が「お岩通り」と変わりました。お岩通り、ということは、あの四谷怪談で有名なお岩さんと関係があるの? でも、ここは四谷ではないですけど…。

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都電の線路を越えたところにある妙行寺へ行ったら、その理由がわかりました。こちらのお寺も、明治時代に引っ越してきたわけですか。もともと四谷にあったお寺で、お岩さんのお墓があるとのこと。それにしても、お寺の門の前や境内にも存在感のある石碑が…。

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四谷怪談は講談だし、本当のお岩さんはいい人らしいのですが、正直ちょっとびびりつつも、お参りすることにしました。

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お岩さんのお墓の前に大名家の墓地があります。こちらは忠臣蔵で有名な浅野家のお墓らしい。浅野内匠頭とその夫人はもちろん泉岳寺が菩提寺なのですが、浅野家の女性たちのお墓なのですね。

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まずそちらにお参りして、緊張しつつお岩さんのお墓へ。 お岩さんのお墓は、小さな石を積み上げただけの素朴なものでしたが、存在感があります。

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東京唯一の都電が走る街

妙行寺を出て、都電の線路に近づくと、ちょうど都電がやって来るところでした。

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私が子供の頃は、東京中の路面を走り回っていた都電も、残っているのはここ、早稲田~三ノ輪間のみ。古い家屋と、狭い路地に昭和の時代の郷愁を感じます。 私は撮り鉄ではないですが、思わず走ってくる都電を、カメラ小僧になった気分で撮影しました。思ったよりスピードがあるので、何度も失敗。ようやく都電をアングルに収めることができました。

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桜と都電のコラボもなかなかいいですね。

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東京外語大のキャンパス跡地にできた西ヶ原みんなの公園

豊島区から北区に入り、あらためて地図を見ると、近くに知らない公園があるのに気づきました。この辺りは何度か来ているのですが、こんな広い公園あったかしらん。

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とりあえず行ってみると、その理由がわかりました。ここは以前、東京外国語大学があったところではないですか。現在は府中に移転して、その跡地のうち約2.2ヘクタールが公園として解放されたのですな。

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昔は坂になった土地にコンクリートのビルが並んでいた記憶があります。当時は狭い印象でしたが、こうして広場になるとかなりの広さがあったのですね。移転したのは2000年ですか。今も、地図に東京外国語大学が載っていますね。誰かがシールを剥がしたみたいですが…。

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公園ができたのは2010年。「西ヶ原みんなの公園」という名前通り、広々とした芝生の広場は多くの人たちが楽しめそう。隣には老人ホームもあって、そこの窓からの眺めは最高でしょうね。

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住宅街にある文豪・ゲーテの記念館

公園を出て、住宅街を歩いて行くと、いきなり重厚な建築物が目の前に…。

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ここは、東京ゲーテ記念館。ドイツの文豪・ゲーテに関する文献を集めた私立図書館で、財団法人東京ゲーテ記念館が運営しているのだとか。茨城県出身の実業家・粉川忠氏が、東京ゲーテ協会を発足させたのですか。

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ネットで調べてみたら、粉川忠氏は機械のセールスを熱心にする傍ら、全国各地を巡りゲーテの書籍の収集に励まれたそうですね。営業とゲーテという、一般人からは水と油に見える活動を同時にされていたのは興味深いです。すでに亡くなられているそうですが、どんな人なのか知りたいと思いました。

ちなみに、現在は定期的にゲーテに関する展示会を行っているほか、予約すれば所蔵している文献を閲覧することもできるそうですよ。

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そういえば、北区西ヶ原の辺りって、名探偵浅見光彦の自宅のあるところでしたよね。歩いていて出会ったら、推理勝負を申し込もうか、と考えつつ、小道を通って本郷通りに出ました。

コンドル設計のルネサンス調洋館がある旧古河庭園

本郷通りを駒込方面に向かって歩いて行くと、右手に広々としたお屋敷が現れます。ここは旧古河庭園。大正6年、古河財閥の古河虎之助男爵の邸宅として現在の形になったそうですね。入園料大人150円を支払って中に入ると、まず目に入るのが見事な洋館。

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この洋館は大正5年竣工したもので、外壁は石垣みたいにがっちり作られているのですな。

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この洋館とその前に広がる洋風庭園の設計者は、英国人のジョサイア・コンドル博士。コンドルと言えば、鹿鳴館、旧岩崎邸庭園洋館、三菱一号館などを手掛け、のちに東京駅などを設計した辰野金吾などの建築家にも大きな影響を与えた人物。

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重厚感ある建物の外壁の黒っぽい石は、真鶴産の新小松石。屋根は天然ストレート葺きで、地上2階・地下1階の構造だとか。1階は食堂、ビリヤード室、喫煙室などの接客スペースで、2階は家族の居室などがあったらしい。

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そういえば以前テレビで見たのですが、2階の居室は豪華な和室だそうですね。残念ながら、ツアーに参加しなければ見学できないようですが、この建物の中に「和」が隠されているとは思えませぬ。

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ちなみに洋館1階部分には喫茶室が設けられているらしい。ゴージャスなバラを眺めながらアフタヌーンティーをいただけば、プチ富豪気分が味わえるかも。

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イタリアとフランスの庭園様式がコラボで楽しめる洋風庭園がある

次に向かったのは洋館の前に広がる洋風庭園。この庭園もコンドルの設計だそうですね。こちらの庭園は、テラスが階段状に続くイタリア式庭園と、植込みが幾何学的に構成されるフランス式庭園の技法があわせて用いられているのだとか。

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洋風庭園に行くと、こんな迷路みたいに植込みが刈られているのをよく見ます。日本庭園に癒しを求める日本人に対して、西洋人は庭に何を求めているのだろうかと思ってしまいます。迷路を歩くことで、頭の体操と体の健康を求めたのかと思ってしまう今日この頃。

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近代日本庭園の先駆者・小川治兵衛が手掛けた庭がある

この庭園の面白さは、イタリアとフランスの庭園様式がコラボだけではなく、洋風庭園と日本庭園のコラボでもある点ですな。コラボと言っても、景観の点ではちゃんと区分けがされておりまする。それが可能になったのは、この場所の地形ですね。ここは、武蔵野台地の斜面に当たるのだとか。一番高い部分に洋館、斜面に洋風庭園、斜面の下の低い場所を日本庭園にしたのですな。

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だから、日本庭園を歩いているときは、この隣に西洋庭園があるとは思えない。西洋庭園にいるときは、緑に囲まれているというイメージなのです。洋風庭園と日本庭園との境界の斜面には、富士山の溶岩が敷き詰められておりまする。

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この日本庭園を作庭したのは、京都の伝説の庭師と言われる小川治兵衛。彼は、山県有朋の京都別邸や平安神宮神苑、円山公園などの名園を作庭した人ですか。コンドルも彼を信頼し、日本庭園の作庭をすべて任せたそうですね。

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日本庭園はそれほど広くはないのですが、心字池を中心に枯滝や大滝、中島などが配されてさまざまな景観が楽しめる趣向。こんな変化に富んだ景観が楽しめるのも、起伏のある土地だからでしょうか。

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歩いていると、都会の中心にいることを忘れて、深山幽谷へ迷い込んだような気分になりました。道に迷ったのですと、こんな茶室の門を叩きたくなりますな。

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この崩れそうな石の積み方は、崩石積みと言うのだそうな。石と石が噛み合って、崩れそうで崩れない形が美しいのだとか。

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解説板を読まないと、危ないなあと思うところでしたが、歩きながらスリルを味わうのも一興なのですな。

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滝や灯篭、渓谷などもあって、見どころをぎゅっと凝縮したような庭園でした。ちなみに、この庭園は、国の名勝指定を受けているそうですよ。

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2016年4月26日

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