夏・甲子園。高校野球の季節がやって来た!~後編

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最新鋭の球場

前編からの続き。

1924年(大正13年)の第10回大会から全国中等学校優勝野球大会(現:全国高等学校野球選手権大会)の舞台となった甲子園大運動場(現:阪神甲子園球場)には、大勢の観客が連日押し寄せました。甲子園の完成により、中等野球人気に拍車をかけたのです。

現在でも大観衆が詰め掛ける夏の甲子園
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甲子園はただ大きいだけの球場ではありませんでした。その設備も最新鋭を誇っていたのです。

当時としては珍しかった食堂があり(食堂については後述)、さらにトイレは水洗式でした。その頃は水洗トイレなんて見たことのない人がほとんどだったのです。甲子園に出場したある選手は、トイレの紐を引っ張ったら水が流れ出したので、ビックリして「故障だ!」と叫びながらトイレから飛び出したと言います。

食堂と水洗トイレを備えた甲子園は、関西の新名所となりました。

春夏の中等野球、そしてタイガース

実は甲子園が完成する4ヵ月前、名古屋市の山本球場(現在は閉鎖)では選抜中等学校野球大会、即ち春のセンバツの第1回大会が行われました。当初の予定では、センバツは全国の持ち回りでしたが、甲子園の完成により1925年(大正14年)の第2回大会から同球場で行うようになりました。ここに春夏の甲子園が始まったのです。

春のセンバツが行われる甲子園
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さらに、1936年(昭和11年)からはプロ野球(NPB)のリーグ戦が始まり、阪神電気鉄道を親会社とする大阪タイガース(現:阪神タイガース)の本拠地となりました。甲子園は、中等野球のみならずプロ野球も行われる日本野球の聖地となったのです。しかし、高校野球とプロ野球で雰囲気が全然違うのは、当時も今も変わりません。

時代と共に様変わりする甲子園

甲子園は完成当初、内野席の外壁はコンクリートが剥き出しで殺風景だったので、を植えて外壁に絡め、西洋の古城のような雰囲気にしたのです。この蔦は甲子園名物になりました。

しかしその蔦も2006年(平成18年)、リニューアル工事に備えて伐採されました。改修後は新たに蔦が植えられ、育ちつつあります。

10年前に伐採された蔦も、また外壁に絡まり始めた
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蔦と並ぶ甲子園名物と言えば、内野席を覆う大屋根です。こちらは完成当初からありましたが、鉄製だったので大鉄傘と呼ばれていました。しかし、戦時中の金属回収令により大鉄傘は軍に供出されたのです。

戦後、大屋根が復活し、ジュラルミン製(後にアルミ合金製)となったので大銀傘と呼ばれるようになりました。さらに平成のリニューアル工事により、内野席全体を覆う大きさになったのです。

甲子園の大銀傘
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甲子園の象徴と言えば、センター後方のスコアボードです。軍艦型と呼ばれ、黒板にチョークというイメージの手書きスコアボードは長く愛されていました。

しかし1984年(昭和59年)、還暦を迎えたのを機に電光掲示板に造り替えられました。でも「黒板にチョーク」のイメージを残すため軍艦型はそのまま採用、さらに日本初の白色ブラウン管を使用し、字体も明朝体のままとなったのです。

現在ではLEDのカラー表示となり、伝統を残しつつもカラー映像やアニメーションが楽しめるようになっています。

伝統を残しつつ、最新鋭のカラー映像が可能となったスコアボード
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甲子園グルメの決定版・カレーライス

先に、甲子園が完成した当初から食堂があったと書きましたが、その頃のメニューはカレーライスだけでした。暑い夏の甲子園に、カレーのスパイスがよく合ったのでしょう。お昼時になると、グラウンドにもカレーの匂いが充満したと言います。

オープン当初の値段はコーヒー付きで30銭。当時としては贅沢料理でしたが、飛ぶように売れたそうです。

戦後に再オープンした時はコーヒー付きで60円。現在は550円でコーヒーは別です。また、球場内ではレトルトカレー(2食で550円)も売っているので、お土産にぜひどうぞ。

テイクアウトも可能、甲子園名物のカレーライス
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もちろん、現在は他のメニューも豊富に揃っているので、食には事欠きません。

あと、夏の高校野球限定として、甲子園名物のかちわりがあります。ビニール袋にブッカキ氷を入れただけのシンプルな物ですが、これが夏の甲子園によく合います。こちらもぜひ味わってください。

独特の雰囲気、夏の甲子園

甲子園球場は、阪神本線の甲子園駅から徒歩すぐの所にあります。大阪の梅田駅と神戸三宮駅のほぼ中間、いずれからでも特急(特急料金不要)に乗って約15分で着きます。

入場料金は、中央特別自由席=2,000円、一・三塁側特別自由席=1,500円(子供600円)、アルプス席=600円、外野席=無料、となっています。また、レフト側スタンド下にある甲子園歴史館にもぜひ行くべきでしょう。さらに、やや遠いのですが鳴尾球場跡地に行くこともお勧めします。

では、今年(2016年)の8月1日で92歳になった、他の球場では絶対に味わえない独特の雰囲気、夏の甲子園を存分に楽しみましょう!

駅から甲子園球場へ向かう道沿いにある、甲子園の完成当時を象ったレリーフ
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2016年8月4日

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