秘湯シリーズ14〜木の香りに包まれ個性的な温泉を楽しめる群馬県たんげ温泉・美郷館〜

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群馬県のメジャー温泉街である草津や伊香保とは一線を画した一軒宿の秘湯です。アルカリ性の豊富な湯量と多彩な湯殿、特に瀬音の湯や滝見の湯など感動的な出会いがあります。お湯の管理に工夫が凝らされ、館内は林業を生かした巨木作りで、木のぬくもりを感じます。

はじめに

バスまたはJRで中之条へ、そこからバスで反下(たんげ)口まで行けば送迎バスがあります。またはタクシーで。車なら渋川伊香保で下車して約1時間。国道353号線は日本の原風景といった眺めが続きます。

このエリアはメジャーな草津温泉や伊香保温泉があり、たんげ温泉は一軒だけの温泉なので注目されにくいかもしれません。「たんげ」とはこのあたりが反下(たんげ)という地名だから。

沢渡温泉の手前から右折し反下川に沿ってまばらな人家の中を進み、こんなところに?その行き止まりが美郷館です。

林業の村の秘湯・美郷館

「たんげ温泉・美郷館」は林業の村の温泉です。和風の建物は堂々としていて風格があります。

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中にいるとロビースペース、どこには巨大な柱で支えられた大空間が広がります。まるで巨木の森の中。

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館主はたしか元々林業の方で、館内は木をふんだんに取り入れてあります。その木の香りに心落ち着きます。

宿は28室、風呂は6つあります。通された部屋は「楓」。座椅子も立派。部屋は二間でした、寝室と居間。これもゴージャスです。

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広縁には大きな窓、外には正面に滝が見える絶景部屋です。この宿ではお隣の「滝」と並んで最上クラスの部屋です。さらに上の露天風呂付きの部屋も一つあります。

多彩で洗練されたな温泉

この地区で25年程前に地質調査のための試掘で鉱泉が発見され、美郷館は元々鉱泉でした。意を決してボーリングしたところ、およそ1000mの地下から36.5℃くらいの温泉を掘り当てました。湯船を40-41℃の適温にするために、ほんの少し加温してありますが、源泉掛け流しです。

蒸発残留物は1550mg/kgあるから、薄い単純泉ではなくカルシウム硫酸塩泉である。pHは8.5なのでアルカリ性でなかなかイイお湯。

内風呂は「瀬音の湯」と「滝見の湯」(男湯、女湯)、それに野天風呂の「月見の湯」があります。貸切露天風呂は宝泉の湯で「桧風呂」「岩風呂」の二つがあります。露天風呂ではわずかに高めの湯温に、内風呂はほんの少し控えめに加温してあり、管理が行き届いています。

瀬音の湯は静寂な世界

早速、お目当ての「瀬音の湯」に行きましょう。ここは夕食時までが男性用、「月見の湯」は女性用で入れ替わります。

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「瀬音の湯」は美郷館でもっとも大きな湯船です。中に足を踏み入れtると、天井、壁、床、湯船もすべて茶色でされています。これは木の地肌の色に統一したためで、木へのこだわりから生まれたデザインだと感じました。

つぎにアーチ型ステンドグラスの窓からの灯りが目に飛び込みます。黄色を主体とし、緑色と赤色が混じっています。でも最も感動したのは、なみなみと溢れる湯と湯船の底に敷き詰められた石です。

このイメージのお手本は法師温泉「長寿の湯」でしょう。違いは「瀬音の湯」がより新しく、木肌の黄茶色が真新しく初々しいこと。法師温泉は歴史と郷愁を感じるが、こちらは木のぬくもりを感じます。

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窓の明かりが水面に反射して幻想的で、底に敷き詰められた石、中でもやや大きめの石がアクセントになっています。

特長は静寂さです。法師温泉は人が多くてやや賑やかですが、美郷館は一人静かに瞑想できます。お湯の温度もちょうど良く、しばし放心状態になってくつろぎます。

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注がれた源泉は湯船の木枠を越えてお湯が静かに流れ出し、そこに外の光が照り返ります。湯船のへりには所々に移動可能なまくらがあって、ここに頭を休ませます。

外には最近ブランコができました。館主が自ら遊び心で造られたとのこと。

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座って漕いでみたが、足先が川に向かって伸びて行く感覚がとても新鮮。子供用ではなく明らかに大人のためのもの、だと思います。夏の一日を裸で過ごせば最高でしょうね。

野趣溢れる月見の湯

月見の湯の底は青いタイル張りです。瀬音の湯のテーマカラーは木肌の茶色でしたが、月見の湯のテーマカラーは清々しい空の色「青」なのでしょうか。

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川縁の露天風呂というのは爽快です。注がれる源泉と静かな湯面、流れるせせらぎの瀬音と緑の樹林が借景、すべてが一体となっていますね。特に川向こうの樹林が素晴らしく美しい。

露天風呂に身を沈め対岸を見上げます、これはニッポンです。実は世界中でもこんな風景にはなかなか出会えないもの。

文字通り滝と一体になる滝見の湯

「滝見の湯」は美郷館の紹介でよく出てくる名場面です。前面を開放した窓から滝(宝泉の滝)が目に飛び込み、心がわしづかみされます。実は、滝見の湯は並んで二つあって、午前と午後で男女入れ替えになります。

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木枕に頭を乗せて滝を眺めてよし、樹林をみあげてもよし、目を閉じてもよしという至福。

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滝の手前に石の塔が…?

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遊び心で造ったのか不思議に倒れていません。大雨でも水量が増えない(山の保水力が高い)のか、流されたらまた造り直すのか謎です。

こちらは男女入れ替えになるもう一つの滝見の湯。

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貸切露天風呂

貸切露天風呂の総称は「宝泉の湯」と呼びますが「岩風呂」と「桧風呂」の二つがあります。空いていればいつでも入れます。引き戸を開ければすぐ右が脱衣所、目の前が湯船です。

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全景はこの通り。露天風呂から対岸の樹林を眺めつつ、眼下の渓流(たんげ川)を見下ろせます。爽やかさこの上なし、心身を完全に解き放てます。

さて、川側にある岩の腰掛けわかりますか? これより先に行けば渓流に落ちます。が、ココに座って渓流を見下し樹林を見上げる、え〜お猿さんになった気持ち。

冬に行けばやはり寒いものです、でもお湯に浸かると最初は少し熱めかなと思いますが、次第に適温となります。顔は冷気に触れ体は暖かい、こんな至福があるでしょうか。

贅沢な食事

部屋と値段で内容や食事処は異なるようです。今回は部屋食でした。

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最初の膳が豪華です。お刺身、煮物と和え物、それに珍しいパンきのこ、豚しゃぶは量は少ないですがその分、美味でした。この後、鮎の塩焼き、ジューシーなステーキ、天ぷらが運ばれて、最終章のデザートはシャーベット。いや満足でござる。読者の皆さんごめんなさい、美味しかったんです。

次は朝食です。豪華にデ〜ンとお出ま〜し。朝から鮎のあぶり、マグロのたたき、ざる豆腐。

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親都(ちかと)神社と蕎麦屋

中之条町には「日本で最も美しい村」連合の六合(くに)村と伊参(いさま)地区の二つが登録されています。その中之条町には霊山たけやまの麓に親都(ちかと)神社があります。

日本の神社というのは西洋の教会と同じ感覚ですね。

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杉の巨木が林立しているが、親都の大きやきは樹齢700年!江戸幕府が始まった時に既に樹齢300年ということになる、スゴいやつ。

神社のすぐ横には「そば処けやき」が静かに待っていました。茅葺き屋根と巨木の梁がすばらしい。十割蕎麦を賞味いたしました。

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この地域には嵩(たけ)やま彫りがある。円空彫りのような、薪を削ったような荒々しさの中に尼僧の静かな微顔が心なごむ、ということで一体を買いました。今、微笑みが部屋中に拡散しています。

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車で登ったところに旧富沢家住宅がある。昔の養蚕を行っていた家である。中はほぼがらんどうですが、昔を偲ばせる色々な道具類が展示されています。静かな空間が好きな人はどうぞ。

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おわりに

美郷館の一押しは「瀬音の湯」、次が「滝見の湯」、捨てがたいのが月見の湯、貸切露天風呂は必須アイテムです。新緑、盛夏、紅葉、雪と四季を通して楽しめます。

泉質はアルカリ性で、お湯の管理も行き届いています。湯口以外にも背中からお湯が出る仕掛けが随所にありました。

美郷館は山奥にありながら洗練された上質の秘湯です。これはグローバルに十分通じると思います。首都圏から近く、日本だけでなく世界の皆さんに知ってほしい宿です。

たんげ温泉・美郷館:カルシウム-硫酸塩泉(低張性アルカリ性温泉)、36.5℃、ポンプ揚水120ℓ/分、pH8.5、蒸発残留物1550mg/kg、内湯男2女1、露天風呂女1,貸切露天風呂2。

※この記事内容の詳細は「秘湯感動紀行 美郷館」で検索すれば見ることができます。

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2016年4月25日

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