「放浪記」の作家・林芙美子記念館と住宅街に点在する神社仏閣をめぐる旅 東京都新宿区・中野区 

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放浪記で有名な林芙美子の記念館がある

今回行ったのは、新宿区と中野区の境に位置する中井、上高田周辺。駅で言えば、西武新宿線の中井駅ですが、都営大江戸線も通るようになって、さらに便利になりましたね。

ちなみに西武新宿線の中井駅は、高田馬場から二つ目の駅。都心とのアクセスは抜群ですが、起伏に富んだ静かな住宅街が印象的でした。

まずは都営大江戸線中井駅から商店街を歩いて、踏み切りを渡ります。そして、商店街の先を左折、山手通りの高架下をくぐると、右手に高台が見えました。

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これが、下落合の高台ですか。その下を取り巻くように走る道から、高台に上る坂は、一から八まで番号がついているそうな。下の道を歩き、四の坂の角にあるのが、林芙美子記念館。

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かつて森光子が長く主演を務めた「放浪記」という舞台がありました。その原作を書いた作家が林芙美子なのですね。もらったパンフによれば、彼女は、大正11年に上京してから、さまざまな仕事を経験するなど苦労を重ねたらしい。

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「放浪記」にも、売れない作家として、林芙美子自身がモデルの主人公が登場します。作品が雑誌に掲載された事を知って、大喜びしてでんぐり返しするシーンがありましたね。森光子がかなりの高齢でそれをやったのが話題になりました。思わず、でんぐり返ししたくなるくらい、それまでは売れなかったのかと…。

ここにある建物は、林芙美子が昭和16年から昭和26年にその生涯を閉じるまで住んでいた家らしい。それはちょうど、戦争から戦後の混乱期にあたるのだとか。

興味深い生活棟とアトリエ棟に分かれた構造

この住宅の面白いところは、林芙美子名義の生活棟と、画家であった夫名義のアトリエ棟があり、それをつなぎ合わせた構造でしょうか。これは、新築当時、建坪の制限があったため、このような作りになったそうな。

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それにしても、隣り合って建っている生活棟とアトリエ棟の間に直接行ける通路がなく、いったん外へ出て行き来していたところがなるほどと思いました。写真は渡り廊下に見えるのですが、実際は行き来ができませぬ。

林芙美子の書斎はアトリエ棟にあったのですが、生活空間と仕事空間を完全に分離するのは、自営業者としてなるほどと思いましたね。オンとオフのメリハリをしっかりつけることが、どちらも充実させる秘訣かもしれませぬ。雨の日は困ったかもしれませんけど…。

生活空間を重視したコンセプト

記念館の入り口は、当時の玄関ではないのですが、やはり当時使われていた玄関から見学したいですよね。…ということで、出版社の人たちが大勢訪れていたという門と玄関です。

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こちらは玄関の脇にある客間。

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ここで、原稿を取りに来た記者たちが何人も待たされていたのですか。朝10時から、入れ替わり立ち替わり記者がやって来たのだとか。今はどうなのでしょうね。本が売れなくなってから、記者と作家の立場が逆転しているようにも思えますが…。

そしてこれは茶の間。一家だんらんの場ですね。

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風呂場は茶の間の近くにありました。浴槽は総ヒノキで、入りやすい落とし込み式なのだとか。

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台所は、家事が好きだった芙美子のこだわりが感じられまする。人造石研ぎ出しで作られた流しと床は自慢の一品たったそうですよ。

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芙美子は、客間よりも茶の間や風呂や厠や台所に十二分に金をかけたのだとか。確かに、客間より、普段暮らしていてよく使う風呂やトイレを充実させたいという気持ちはよくわかりますね。

アトリエ棟の寝室は、当初、芙美子の書斎として作られたらしい。とこが明かる過ぎて仕事に支障をきたすと言って、奥の納戸を執筆スペースとして利用したのですか。

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確かに、納戸の書斎は、ほどよい暗さで、落ち着いて仕事ができそうでした。

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この明るく広いスペースは、画家であった夫の緑敏のアトリエとして使われていたそうな。現在は、林芙美子に関する資料が展示されていました。

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それほど広くはありませんが、こぎれいな庭も一見の価値ありでしたね。崖の近くに建てられた家で、庭は起伏があってさまざまな景色が楽しめますね。

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最後は、使用人室の二段ベッド。狭いけど、落ち着いた雰囲気でぐっすり眠れそう。

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神社仏閣と運動施設をめぐる快適なウォーキングコース

記念館を出て、高台をとりまく道を再び歩き、六の坂を登ると目白大学のキャンバス。キャンパスの中に、「落合遺跡」とそのミニ博物館があるそうですが、行った日は休館日でした。前回来たときも休みで、いつか見学したいと思っているのですが…。

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正門から南門へ歩き、住宅街を左折すると中井御霊神社。

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創建は不明らしいのですが、古くから落合村中井の鎮守だったとか。神社のネーミングからしてなにか神秘的な感じもしますね。

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この神社には、『雨乞いのむしろ旗』が保存されているらしい。江戸時代に農民が雨乞いの行事で用いたもので、「竜王神」と書かれているのだとか。

社殿の右横の小さな石段を降り、突き当りの坂道を降りてゆくと、妙正寺川に出ました。橋を渡り、川の左側の遊歩道を歩きます。

直射日光がまともに当たって暑くてまぶしくて、真夏のウォーキングの過酷さを実感しました。上高田公園の野球場とテニスコートの間の道を抜けて進みます。

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前回来た時も驚いたのですが、暑い中、野球やテニスに興じる中高年が多いのに驚きました。最近の中高年は、元気な人とそうじゃない人たちに対立二区分されるみたい。 できれば、元気なグループに入りたいのだけれど、と思ったのですが、私もこの炎天下、一日中歩き回るのも元気なほうなのかもしれない、と。

次に向かったのが東光寺。本堂は鉄筋コンクリートの新しい建物でしたが、巨木に囲まれ、庭の美しいお寺でした。

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10万点にのぼる収蔵品がある三井文庫

墓地に沿って歩き、表通りに出て右折、上高田小学校の横の道を歩いて行くと、三井文庫と看板のある建物があります。

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ここは、三井家が代々収集してきた美術品や書籍を収蔵している施設らしい。17世紀半ば以降の三井家(越後屋呉服店・三井両替店)の古文書類と明治以降の三井系企業の経営資料を中心として、収蔵品は10万点にのぼるのだとか。

ただ、ホームページによると、利用は原則として20歳以上の研究者に限るそうですね。初めての利用者は,所属機関長・指導教官など適当な紹介者を要するのですか。

一般人が三井家のお宝を見学しようと思ったら、中央区日本橋室町にある三井記念美術館がいいみたい。

次の目的地である妙正寺川公園へ向かう道すがら、洒落た区立の図書館があったので寄っていくことにしました。高田図書館は、それほど大きくはないけれど、クーラーがきいていて、落ち着いた雰囲気。窓から緑を望める静かな閲覧室で、ゆっくり好きな本を読むのはまさに至福の時間ですな。

2016年9月7日

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