日本最古のボウル・ゲーム!アメリカン・フットボール大学日本一を決める甲子園ボウル
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甲子園も野球からアメフトへ
日本における野球の聖地と言えば阪神甲子園球場です。その甲子園球場も、冬になると野球とはお別れとなります。
ところが、オフ・シーズンにも甲子園球場に多くの人を集めるイベントがあるのです。それが三菱電機杯毎日甲子園ボウル(以下:甲子園ボウル)です。
甲子園ボウルは全日本大学アメリカン・フットボール選手権大会の決勝戦という位置付けになっています。東日本代表と西日本代表のチーム同士が甲子園球場でアメフトの大学日本一を争うのです。当然、大学フットボーラーにとって、高校球児のように甲子園出場が最大の目標となります。
とはいえ、野球ではなくアメフトなので、甲子園球場は普段とは全く違う貌を見せます。
甲子園球場の大スコアボードもアメフト仕様に
東西の意地とプライドがぶつかり合う甲子園ボウル
甲子園ボウルが選手権の決勝戦となったのは最近のことであり、2008年度までは東西大学王座決定戦という名目で、関東代表と関西代表の一騎打ちでした。つまり、それ以外の地区には門戸が閉ざされていたわけですね。
2009年度から現行方式となりましたが、関東と関西の壁は他の地区にとってあまりにも高く、今まで甲子園ボウルに出場した大学は関東と関西以外にはありません。
つまり、事実上は現在でも関東vs関西という図式で、両地区の意地とプライドがぶつかり合うのが甲子園ボウルと言っても過言ではありません。中でも、日本大学フェニックスと関西学院大学ファイターズとの”赤青対決”は甲子園ボウルの名物カードでした。赤ヘル軍団の日大と、青いユニフォームの関学大とのライバル関係は大人気を博し、冬の甲子園の風物詩となったのです。
その後、両地区ともレベルが上がって他の大学が台頭し、”赤青対決”から遠ざかっていましたが、2011年度に甲子園で久しぶりに”赤青対決”が実現してオールド・ファンを喜ばせました(2007年度にも実現しましたが、この時は甲子園球場が改装中だったため長居スタジアムで開催)。
甲子園ボウルの名物カード、日大vs関学大の”赤青対決”
甲子園ボウルの最中にボクシング!?
甲子園ボウルは、日本に現存する最古のボウル・ゲームです。アメフトではスタジアムをお椀(ボウル)に見立てて、重要な試合を「○○ボウル」と呼びますが、本場アメリカでは大学の「ローズボウル」や、プロのNFL「スーパーボウル」などが有名ですね。
第1回甲子園ボウルが開催されたのは、戦後まもない1947年4月13日のことでした。実はこの日、午後4時から内野の土グラウンド部分でプロボクシングの試合が予定されていましたが、甲子園球場から「それまでに試合が終わるなら外野グラウンドを使用してもよい」と言われたので、甲子園ボウルを開催することができたのです。
ところが、午後1時から始まった甲子園ボウルは予想以上に長引き、午後4時になってもまだ終わらなかったのでボクシングが始まってしまい、外野でアメフト、内野でボクシングという、違うスポーツを同時に行う世にも奇妙なイベントとなったのです。おそらくこんな珍事は、世界でも空前絶後でしょう。
2009年度まで、甲子園ボウルでは外野の芝生部分のみを使用していましたが、現在はバックネットからバックスクリーンに向かって縦方向にフィールドを設置し、内野には臨時の芝生を植えています。なお、一塁側に沿ってやや斜めになっているので、一塁側スタンドの方が見やすくなっています。
かつては外野の芝生部分を横方向にフィールドを設置していた甲子園ボウル
今年度の甲子園ボウルを制すのは?
大学スポーツは総じて関東が優勢ですが、アメフトの場合は関西が有利で、昨年度(2015年度)まで関西勢が9連覇を誇っています。関東勢としては巻き返しを図りたいところですが、昨年度は早稲田大学ビッグベアーズが敗れたとはいえ立命館大学パンサーズに27-28の1点差負けという大接戦を演じており、東西の差は拮抗しています。
今年度(2016年度)の甲子園ボウルは12月18日(日)、早大vs関学大の対戦となっています。最多優勝を誇る関学大が勝って関西勢の10連覇なるか、早大が関東の意地を見せて阻止するか、非常に楽しみですね。
勝って大学日本一になったチームは、来年(2017年)1月3日に日本一を賭けて、東京ドームで社会人王者とライスボウル(日本選手権)を闘います。
現在は縦方向、一塁側に沿ってやや斜めにフィールドが設置される甲子園ボウル
ぜひとも甲子園ボウルの生観戦を!
甲子園球場の最寄り駅は阪神本線の甲子園駅で、徒歩すぐの所にあります。大阪の梅田駅と神戸三宮駅のいずれからでも特急(特急料金不要)に乗って約15分です。
「ルールがわからない」という理由でアメフトを見たことがない人も多いと思いますが、一度は甲子園ボウルを見に来てください。ルールがわからなくても、迫力あるプレーに魅了されると思いますよ。また、甲子園歴史館には甲子園ボウルのコーナーもあります。
さあ、決戦だ!
2016年12月5日